先天性欠損でお悩みの方へ
先天性欠損とは、生まれつき永久歯が本来の本数より少ない状態のことをいいます。
親知らずを含めた永久歯は最大32本ですが、そもそも歯の元となる歯胚が形成されず、一部の永久歯が生えてこないことがあります。また、大人になっても乳歯が残っている状態(大人乳歯)も先天性欠損の一つです。
このような歯の欠損は自然に新しい歯が生えてくることはほとんどなく、放置すると噛み合わせや口腔内のバランスに影響が出る可能性があります。
先天性欠損を放置すると・・・
先天性欠損をそのままにしておくと、時間の経過とともに以下のような問題が起こる可能性があります。
永久歯が生えてこない場合
生まれつき1本のみ歯が不足している場合もあれば、複数本にわたることもありますが、欠損したままの状態を放置すると、さまざまな影響が生じる可能性があります。(虫歯や歯周病、事故などで歯を失い、そのまま補わずにいる場合も同様です)
両隣の歯が傾いてくる
歯のないスペースへ隣の歯が倒れ込み、歯並びが崩れることがあります。
歯が伸びてくる
噛み合っていた歯が失われた反対側の歯が伸びてくることがあり、噛み合わせのズレにつながります。
見た目が悪い
歯の欠損が目立つことで、見た目のバランスにも影響が出る場合があります。
大人乳歯が残っている場合
乳歯は一時的な歯であり、永久歯の代わりを長く務められるものではありません。そのままにしておくことで、さまざまな影響が生じます。
虫歯のリスクが高い
乳歯はエナメル質が薄いため、永久歯よりも虫歯が進行しやすい特徴があります。
抜けやすい
歯の根が短く安定性に欠けるため、ぐらつきやすく、将来的に抜けてしまう可能性が高まります。
歯並びへ影響が出る
永久歯よりも小さいため、すき間ができやすく、かみ合わせや歯列バランスに影響を与えることがあります。
見た目が悪くなる
歯の大きさや形が異なることで、審美面でも違和感が生じることがあります。
当院の先天性欠損治療
先天性欠損の治療では、失われた歯の機能をどのように補うかがポイントになります。
主な治療法としては、ブリッジ・入れ歯・インプラントが挙げられます。
☑ブリッジ
両隣の歯を削り、橋渡しの人工歯を装着する方法です。比較的短期間で治療が完了しますが、健康な歯を支えとして使用する必要があります。
☑ 入れ歯
取り外し式の装置で欠損部を補う方法です。外科処置を伴わないという利点がありますが、違和感や安定性の面で個人差があります。
☑ インプラント
顎の骨に人工歯根を埋め込み、その上に人工歯を装着する治療法です。周囲の健康な歯を削る必要がなく、単独で機能を回復できる点が大きな特徴です。
なかでもインプラントは、他の歯に負担をかけずに自然な噛み心地を回復できる治療法として、先天性欠損のケースでは特に有効な選択肢といえます。
顎の骨の状態や年齢などを十分に評価したうえでの判断になりますが、長期的な安定性や機能性を重視する場合には、第一に検討されることが多いです。
先天性欠損のインプラント症例
ここでは、上顎に2本の先天性欠損があるケースに対し、1本のインプラントで対応した症例をもとに、治療の流れをご紹介します。
①治療前
この患者さんは、上顎右側の3番にあたる歯が先天的に2本欠損しており、乳歯(画像左の青丸部分)が残存している状態でした。
治療法としてはブリッジとインプラントの選択肢がありましたが、周囲の健康な歯を削りたくないというご希望から、インプラント治療を選択されました。ブリッジの場合は複数の歯を支えにする必要があり、比較的大きな補綴物になることが想定されました。
②術前のシミレーション
当院では、コンピューターシミュレーションにより、最終的な歯の形態やインプラントの位置を設計しています。デジタル上で綿密に計画を立てることで、手術時の負担をできるだけ軽減できるよう配慮しています。
今回の症例ではスペースが限られていたため、2本分の欠損部に対して1本のインプラントを埋入する治療計画を立案しました。
③インプラント埋入・仮歯装着
計画に基づいてインプラントを埋入し、その日のうちに仮歯(プロビジョナルレストレーション)を装着しました。
④上部構造を装着し治療完了
仮歯(プロビジョナルレストレーション)で歯ぐきや周囲組織の状態が安定するのを確認した後、最終的な上部構造を装着します。
今回はスペースが限られていたので、2本の欠損部に対して1本のインプラントを活用し、スクリュー固定式のジルコニア製セラミッククラウンを製作・装着しています。